花梨のびびりまくった声や、蓮二の可笑しそうな声。

そんなものは、右から左。


「う…」


「ひざ打ったの?」


「! やっ…」


「触るなよ」


「…!」


「かっくん~!」


…あろうことか、半泣きで自分の膝を見つめる真裕を見て、膝の赤くなった部分に触れた風間。

その上どさくさまぎれに太ももを撫でたわけで…。


「な、ななななんだよ星野っ」


当然の如く苛立ちが頂点に達した俺は、真裕を自分のもとに引き寄せて風間を睨みつけた。


「おっ、お前に関係ないだろ!?」


完全に声が裏返っている。

こんなに動揺が丸わかりのやつが……真裕の他にいたとは。


「…大丈夫か?」


「うん。だいじょおぶ」


「だから言ったろ。お前三日に一回は転んでんだから」


「……そんなことないもん」


あるね。


「お、おい聞いてんのか? おめー藤峰真裕と婚約してんだろぉ!? いっ、いっ、いねぇのをいいことに浮気かこんにゃろー!」


「? …かっくん、まお…はぶっ」