「へぇ…。可愛らしいじゃない。一年生? 十八かな。ずいぶん童顔なんだね」


「!」


あろうことかその男は、そう言いながら歩み寄り…真裕の頬をさらりと撫でた。

……よっぽどぶっ殺してやろうかと…。


「おいアンタ…」


キッと睨みつけながら言いかけたときだった。


「馬鹿もの!!」


「…!」


「あっ…?」


「お、おじい様!」


おじい様……だと?


ビシッと床をなにかで叩く音がしたと同時に怒声が聞こえ、慌てて振り返った男が確かにそう言った。

そう言った相手は……。


「東雲さま…」


…真裕がそう言っていた男性だった。



「馬鹿ものが! この方をどなたと心得る!」


……水戸黄も…。


「貴族に触れるなど許されることではない! 頭を下げよっ」


「き、貴族?」


「申し訳ございません藤峰様。こやつはものを知らぬ若造でして…。わたくしの教育が行き届いておらず! 誠にご無礼を致しました」


…あの、東雲コーポレーションの会長が。

真裕に……深く深く頭を下げている。