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「さ……さすがにすごいわね…」
たじろぎながら呟くりんりんの気持ちは分かる。
分かりすぎてあたしなんて声も出ません。
「世界のマエストロ勢揃いやん! …あ、あれ俺知ってるで。最近名前が上がってきよる新人やわ」
「名のある音楽家達が揃いも揃って一体何事かと思うね」
「ぷろでゅーさーもおるで」
あっちこっち指差しながらぺらぺらとよく喋るしゅっちゃんは置いといて。
今日はついにあの、軽井沢音楽祭当日です!
さすがは世界の宝院。色んな音楽家を輩出しているだけに、卒業生やその師匠などなど……あたしの目にはまぶしいほどの輝いた人たちばかり。
あたし達はまだ会場に出ちゃいけないから、舞台そでから覗いている。
「…ていうか全員参加だと思わなかったんだけど」
「まだ言ってるのー?」
一体何度目か。
りんりんが不満そうに言った。
「だってあのオーディションはソロを決めるやつだったなんて詐欺よ詐欺っ」
あれをすっぽかしたから自分はもうないだろうと高をくくってたらしい。
そしたら始業次の日に「Sクラス全員参加!」…と、例のネーミングセンスゼロの熱血先生が言い出したんだ。
そのときのりんりんとしゅっちゃんといったらもう、ぴしっと音がしそうなほどに固まっていた。
蓮くんは必死で笑いをこらえてたけどね。