……そう。

「気をつける」…。


これが本当に、ただのかっくんのからかいならよかったんだ。

あんなことやこんなことまで起きるなんてまさか想像もしない。



「もしそんなことになったら、まおイタリアに逃げるよ。去年のお誕生日にもらった別荘があるんだぁ」


「誕生日に別荘……」



そして、一つの影の存在もちらつき始める。

憎悪を募らせる、黒い影。



「あ、かっくんも一緒に行く? 海の近くでねぇ、周りの海を土地として一部買ったんだよ。泳げるよ」


「海…を買ったて」



…でも、今思えば結果よかったのかもしれない。


どの道を選ぼうとも。

それにより後悔を伴っても、幸せを伴っても。

それが、運命。

定められていた道は、結局一つだったということ。


――……そう。

すべては変わることのない運命だったんだ。



「あ、ちょっとだけバイオリンやろうよ。ね?」


「分かった分かった」


「きゃ~~っ。かっくん大好き!」



ずっと一緒に……隣で。

バイオリン、やりたかったよ――…。