聞いていたらキリがない。
まして興奮しだしたら真裕並みに手が付けられなくなる。
携帯を閉じてポケットにしまい込んだ。
「……今なんか、最期の断末魔みたいな叫び声が…」
「（たぶん）生きてる」
―プルルルルルルッ
…ほらな…。
「なに」
素直に出るのは、無視してるとしつこすぎてノイローゼ起こすから。
電源切ろうが何しようがどうあっても連絡を取ろうとする。
『なに今どこにいるの真裕ちゃん！？ 世話ってなによなによどっか悪いの？』
「ぶっ倒れた」
『やっだ大変じゃない！ ちょっと連れてきなさいよあんたあたしの娘よ？ 娘よ娘よ念願の娘よ？ しかもあの真裕ちゃんよ？ 連れて帰ってきなさい！』
「……」
そういう手があった…。
俺一人で看病ができるかっていうとそうでもない。
こういうことに慣れてるお袋がいる方がいいに決まっている。
ちょっとめんどくさいことになりそうだけどそうしよう。
「あーじゃあそうする」
返事は聞かずに即座に切り、行き先をマンションから変えてもらった。
「…家族ぐるみなんて、本当に婚約者なのねぇ…」
……ハア。
