――楓サイド――
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
それからすぐに、真裕は気を失うように眠った。
静まり返る室内。
「…ねえ。結局どういうことなの?」
「僕達よく知らないんだけど」
よく知らない。
それは俺も一緒だ。
ただ少しばかり事情を聴いた程度。それは知っているとは言わない。
「…こいつが日本に来たのも、名前を変えてるのもそのせいだ」
「名前を変えてるですって!?」
「母親が急に行方不明になった。五年前。…こっち出身だからと本格的に探すために真裕が来たらしい」
「ちょっ…」
「最近になってパリでニュースを聞いたらしい。母親が……藤峰真琴が病気らしいと。目撃されたらしいと」
「だから…」
「それに加えてさっきのあれだ。…信憑性は……増したな」
マスコミの言うことは八割方でまかせだ。
だが火のないところに煙は立たないという。
全くなにもなしに出てくるものではなく、右往左往して正しい情報にならないだけだ。
それが今日……裏付けされた。