――真裕(真緒)サイド――
あたしのかっくんなのに父様の父様のばかっ!
「早く返してーっ」
嬉しそうに何か言おうとしている父様を無視して、かっくんの腕に抱きついた。
かっくんは、思いっきり疲れたため息をつきながらよしよししてくれた。
「助かった……と言いたいところだが一歩遅かった…」
「ん? なにが?」
「いやっはっは! 真裕、そこの楓くんと婚約が決まったぞ。母さんのためにも発表するからな。てかもうしたからな」
「……」
「……」
「……」
……ん?
んー……。
「……こんにゃく?」
「婚約だわ馬鹿娘ーっ!」
「いったぁい父様のばかぁ!」
なんで叩くのーっ。
頭を押さえて涙目でかっくんの後ろに隠れる。
「こんやくってなあにーっ」
「結婚の約束だわ馬鹿娘ーっ!」
うあーんこあいよー! かっくん助けて~っ。