キテレツ?
…って…奇天烈?
「知恵熱ッ」
「とにかく熱が高いから、解熱剤を飲んで寝てなさい。あなたの病院嫌いは半端ないから今回は行かなくていいわ」
「……まお帰らなきゃ」
色々思い出した…。
帰らなきゃ。家に帰らなきゃ。
「ああ、そうね。車で送ってってあげるわ。待って……あちょっと! 無理して起きないのよ」
「帰るもん」
動けばそれはそれは頭に響くけど。
それをぐっとこらえ、上半身を起こす。
「真裕…」
かっくんがベッドに座り、支えるようにあたしの腰に手をまわす。
もたれかかるようにかっくんの胸にしがみついて訴えかけた。
「かっくん、帰る! …まおパリに帰る!」
「えっ…」
「ぱ…」
「パリにって…」
「……」
キュッと目を細めたかっくんは……。
あたしの全てを分かっているみたいだった。