思わぬ人物の登場に、なんとなく嫌な予感がした。


「最初に言っとくけどね、あんたのバイオリン引き裂いたの、あたし達じゃないわよ」


「……は?」


「してないことまでしたと思われたままは嫌だからね」


して…ない?

してない?


思わず眉をしかめたのは、あたしだけではない。


「弦とか弓とかでも切ってやろうとして忍び込んだのはたしかよ。でもその時にはもうああなってたの」


「そんなこと……今さら信じてもらえると思った?」


蓮くんが挑発的な口調で言う。


「ふん。…もう一つよ。あんたの机の落書きも、机に入ってたカミソリも違うわ。あのお嬢様が嫌がらせしようとしたらもうそうなってて気味が悪いって言ってたもの」


どういう…こと?

それって……それって。


「あたし、武藤真緒でしかないあなたには興味がないの。お嬢様は藤峰真裕じゃなくてあなたが対象だったみたいだけどね?」


「……」


「でもその彼女より先にしていたやつがいる」


それ…って。


「あんた誰かに相当恨まれてるみたいね?」


他に…犯人がいる、ってこと…よね…?