これには思わずこめかみが痛むのを抑えられなかった。
「あの……なんてことしてくれてんすか」
「ん? なにがだね? …あ、一時間後には君と真裕の婚約が世界中にはっぴょーされるから。安心したまえ。世界公認だ」
「……」
安心ておい…。
本人達の…つーか娘の意思は。
ひとっことも聞いてねーだろなにも。
「…あ! 真裕にいうのわすれてた」
「ハア……」
「まいいや」
……くっそこの親父…。
「父様ッッ!! お客様来てたの忘れてたッ。あとかっくん返して!」
バンッと激しく扉が開いたかと思うと、怒ってるらしい真裕が入ってきた。
そういやお客様―とか言いながら入って来てたっけ…。
「おお! 真裕や喜べ♪」
「なにが? …かっくん返して」
「たった今決まったんだよ」
「なにが? …かっくん返して」
この親子ついていけねぇ。