「ほんとなんだってば。こっちにいた頃はな、私と母親、そしてごく数人の使用人と大好きな師匠くらいとしか会話もしなかった」
「は……」
あの真裕が? いやいやいや…。
「心を許したものにはああなんだが、なかなかそうならない。ま、極端なんだわな」
確かにまあ……色々極端なやつだけど。
どうも信じがたい。
あいつがそんな人見知りには見えない。
「そんな真裕があんなに懐いているなんて……いくら彼氏とはいえ!」
「だから彼氏では…」
「君なにかしたのかね? 何で釣ったんだ? お菓子か、バイオリンか?」
「……」
お菓子て。小学生か。
…いや、つられるなあいつなら。
「別に俺は何もしてませんよ。会うなり妙なあだ名付けられてそれ以来…」
「それなんだなー」
「はあ?」
腕を組んで深くうなずく真裕父を思わず見返した。
「あだ名付けるってーのが真裕なりの愛情表現❤」