「偽物が入ろうとしたらどーすんだ! 厳重にしておかねば」


「偽物なんか現れるわけないじゃ……ん……」


……あれ。


「こないだ現れたばっかだろ」


…そおでした。

あは、ははは…。


「なにっ!? 本当に偽物が現れたのか?」


「いや…まあ……。いたずらですよ」


「いたずらぁ?」


「そうっすよ」


父様のことだ。

先生のバイオリンをあんなにした犯人達で、音楽を小馬鹿にしてるって知ったらもう今すぐにでも飛んでいきかねない


「気を付けるんだぞ? そんなでも有名人だからなそんなでも」


「そんなでもってなんだ」


なんかまるで人を……馬鹿にしてるように聞こえる!


「馬鹿になどしていない。 ただちょっと馬鹿っぽいなって思ってるだけだ」


「天下一の馬鹿に言われた」


「なんだとこの!」


あたしと父様にとってはいつものやりとりだけど、初めて見るかっくんは目を瞬かせていた。