俺の母さんは親父と20歳の時に結婚して、21に妊娠、22の時に俺を産んだ。

もちろん、しきたりを守って。

だけど、母さんと親父は今みたいに無理矢理子どもを産ませようとお願いされたのではなく、きちんと愛し合って子どもが出来た。


…俺の場合、女が嫌いだからこんな形でガキを産ませようとしてるんだと思うんだがな。

母さんが生きていたらきっと親父を止めていただろうな。


「絶対に無理」

俺は、全力で拒否る。

反抗する俺に親父は頭にきたらしい。

声のトーンが少し落ちた。

「お前に拒否権はない。しきたりはきちんと守れ。もちろん、千春さん、貴女も」


「えぇ!?」

女は突然話を振られ、ビックリしている。


「無理です!いきなり子どもを産めとか。なんで私なんですか!」

この女もやっと本音を出した。

俺と同じで知らないやつとヤってガキ作るなんて嫌なんだろう。


「君にした理由は、性格、血液型、生活環境、全て理想だったからだ」


親父は静かにそう呟く。

…こいつって一般人だろ?


なら何故、親父の目に付いたんだ?

不思議でたまらない。


この女は何かを持っているのか?

「結婚はしなくていい。…だが、孫を産んでくれ」