危なく滑って転びそうになった。


「す、すみません!」

この建物にはふさわしくない甲高い声がフロアに響いた。


俺は、少しだけ後ろを向くと、見たこともない女が頭を下げていた。


…高校生か?


なんて思いながらも、急いでエレベーターのある死角へと向かう。

急いでいるのはもちろん、早く話を終わらせたいため。親父との。


最上階から降りてくるエレベーター。


…おそ。

なんて思ってると、さっきのぶつかった女が隣に立っていた。


なんでこいつがこんな時間に?