こいつは仕事だから“しょうがなく”やってるだけだ。
波留だってこんな大人の付き人ではなくて、素直で優しい女やガキに付きたいはすだ。
俺は波留を睨み、シャワー室へ入ろうとすると、波留がクスクスと笑いだした。
俺は、ビックリして波留の方を振り返る。
「なんだよ…」
「いえ。翔様が自分で物を用意すると、昔から絶対に忘れ物するから、と思っただけです」
ニコニコ言うこいつに無償に腹が立つ。
それは…、全部、俺を知られてるから。
好きな物も弱点も過去も。
俺は、いつだって波留に勝てない。実際今だって言い返せなかった。
