少し低い声が
私の頭の後ろで響いた。


それと同時に風が吹いた。



『え…土屋崎から…』



『それだと180円ですね』


と言って背の高い男の子は
小銭を出して
切符も車掌さんに渡した。


車掌さんはぶつぶつ言いながらも
通してくれた。


後ろの混雑がやっと
解放されていく


髪の毛は染めてない自然な茶色で

背が高くて
スラッとした人だった。

優しい顔したその人は

テレビやドラマに出てくるようなイケメンではなかったけど


とても爽やかだった。



蒸し暑いホームなのに
暑い顔一つせず
そこだけ 初夏のようだった。