いつの間にか
病院のある最寄り駅に着いていた。


『げっ、あの車掌さん…』


改札をみて嫌な気分になった。

いつも無愛想で怖い
車掌さんがいたからだ。


早く定期をださなくては


ポケットに手をいれようとして
あたしは気づいた。


『しまった…』


いつも制服のボタンに入れてるから
忘れてしまった。



急いでカバンをあさって財布を探すが



財布も忘れてしまったみたいだ。



反対車線の汽車からおりた人達が
私の後ろに並んできた。


あたしは相変わらずカバンをあさる。



どんなにあさっても財布がない事はわかってるのに



『どうしょう。どうしょう。



車線さんはギロリとあたしを睨んだ。