あたしは一瞬、頭が真っ白になった。

誘拐?どうして?

「ですからベルさん。一緒に登城してください。」


あたしは言われるがままに、車に乗り城へと連れていかれた。

城に着き、リーに案内され、謁見の間へと向かった。

どうやら陛下に謁見するらしい。

謁見の間の扉の前に、二人ほど人が立っていた。

1人は背が高くて美人な女性。

もう1人は…

「あ…あの時の…」

さっき、城の中ですれ違った男性だった。

二人ともリーと同じく群青色の軍服を見にまとっている。


「あれ、知り合いですか?ベルさん。」

「えっ?いえ、違いますよ!」

あたしは否定した。
知り合いっつっても、すれ違っただけだしね。


「リー。陛下がお待ちよ。謁見の間に入って。」

女性がそう言うと、リーはあたしを見た。

「今から謁見します。失礼の無いように。」

そうして、あたしとリーと二人の軍人は謁見の間へと入っていった。