殿下の部屋から出ると、部屋まで案内してくれた軍人さんが立っていた。

「ベルさん、お疲れ様です。いつになく汗だくですね。」

「あはは。緊張しますからねえ。」

この人は、あたしが能力者だって知らない。
普通の医者だって思ってる。
だから、あたしは
「力を使うから汗かくんです。」
なんて、言わない。


軍人さんに連れられ、城の裏門に向かって歩いていると、
1人の軍服を着た男性とすれ違った。

「お疲れ様です!」

その男性とすれ違った瞬間、
あたしを連れた軍人さんは敬礼をした。

男性は、おう、とだけ返事をして行ってしまった。


金髪で、髪はツンツンしてて、
あたしと大して歳は変わらない感じの男性だった。

ただ、軍人さんと違って
あの男性が着ていた軍服は
群青色だった。

あたしは気になったので聞いてみた。

「あの、軍服に色の違いってあるんですか?」

「そうですね…一般の、私たちみたいな軍人は水色の軍服を着るんです。」

軍人さんは、少し説明に困っている様だった。

「ほんとにエリートの人で、ある部隊に所属する軍人は群青色の軍服を着ていますよ。さっきの方みたいに…。」

「ある部隊??」

あたしはすごい興味津々になって聞いた。