「…ん…」

目を開けたら、見覚えのある天井。
横を見れば、サンマリアの街並み。

「ここはっ!サンマリア城!」

あたしはガバッと起き上がり、勢いよくベッドから飛び降りた。

急いで鏡を覗く。

「良かった…元通り。」

あたしの瞳の色は、茶色に戻っていた。

それにしても、なんでこの部屋に戻ってきたの?
あたし、研究所に居たはずじゃ…

部屋をウロウロとしていたら、ソファに何か掛かっていた。

「黒い…服かなあ?なんだろう。」

あたしは、それを手に取った。

「…っ。ぐ…んぷく…。」

黒い服は、軍服だった。
一般軍人や、群青の剣の軍服とは型が違うけど、立派な軍服だった。

かかとまでありそうな、長い上着。
短いスカート。
白いシャツに黒いネクタイ。
上着とスカートも黒い。
それに、黒いブーツ。

「何よこれ。あたしの…?」

テーブルに紙が置いてあったので、読んでみた。

『能力者は黒い軍服を着て、15時にマリアナ・サンマリア軍基地に集合。時間厳守。』

…ついに、戦争が始まるんだ。
窓から見たサンマリアは、こんなに穏やかなのに。信じられない。

どうして戦争するの?
あたしがバレンシア人を殺したから?

あたしは深呼吸した。

「とりあえず、基地に行かなきゃ…」

服を脱ぎ、軍服に腕を通した。










あたしも軍人なんだ










そのことが頭から離れなかった。