リーは少し納得行かないような表情をしていた。

キースはそれに気付いた。

「…ん。なんだよリー。俺、変なこと言ったか?」

リーは少し間を開けてから話し始めた。

「…えーと。世界征服っていっても、それは古来の人々の考えだよね。じゃあ今は?サンドラ陛下は何を?それに僕はシルエ殿下のことも気になる。」

シルエと聞いて、キースは一瞬動揺した。
リーはキースとシルエの因縁を知っている。

「あ、ごめん…。」

「いや、良いんだけど。」

リーがあまりにも申し訳なさそうに謝るので、キースは少し笑っていた。

「シルエの事は、リーが調べてくれよ。俺は能力者について調べるから。…それにベル…あいつのことも心配だしな。」

その言葉を聞いて、リーはニヤニヤした。
それを見て、キースは顔をしかめた。

「なんだよ。」

「いや?キースもしかしてベルのこと、好きとか?」

キースはため息をついた。

「ちょっと!ため息つくことないじゃん!僕はお似合いだと思うよ?キースとベルはさ!」

「はは。もう遅いよ。」

「え?」

リーはきょとんとした。

「あいつはシルエに夢中だ。俺なんかは眼中に無ぇよ。」


キースはそう言うと、本部へと歩きだした。

リーはキースの後ろ姿を見送り、悲しそうにつぶやいた。

「大事なもの全部シルエ殿下に持ってかれちゃうなんてね…。キース…。」