キースは群青の剣本部にいるリーの元へと急いだ。

キースとリーは士官学校時代の同期で、親友でもある。
お互いがお互いのことを認めあっていた。


「あ。キース!」

本部までの廊下でリーと会った。

「丁度良かった。お前を探してたんだよ。」

キースはそう言うと、手に持っていた本をリーに突きつけた。

リーはそれを受けとると、不思議そうにそれを見つめた。

「何これ?能力者の歴史?」

「ああ。読んでみろよ。」

リーはしばらく本を読んでから、キースを見た。

「キース…!これは…。」

リーは信じられない、というような顔をしている。

「どういうこと!?能力者は、身内に能力者がいなきゃ生まれないんじゃないの!?」

「そう教わってきた。俺たちはな。でも実際はそうじゃないみたいだぜ…。」

キースは言葉を続けた。

「能力者の力は遺伝とか、そんなんじゃない。そもそも能力者なんてのはマリアナ帝国にしか存在しない。それ自体がおかしいだろ。」

リーは本をパラパラとめくり、
何かを探しているようだった。

「…あった。実験によって完成した能力は、適応者にのみ投与を認める。これって…。」

キースはうなずいた。

「俺が考えるには、能力者は古来よりマリアナ帝国が秘密裏に行ってきた実験の成功結果。能力者を誕生させた理由は、多分、世界征服のためだ。」