あたしの夢幻の力は、人に夢を見させることができる。

あたしの頭の中で考えたことを、相手に見せることで、相手は夢を見てる気分になる。

それは、精神的な病の治療に効果的だということで
あたしがシルエ殿下の治療をしているというわけ。


あたしは目を瞑り、殿下の額に手を置いた。

「今日の夕日も、綺麗なのだろうか…?」
殿下の声は少し明るかった。

「そうですね。そうだと思いますよ。」
あたしは、あの丘の夕日を思い出した。

その瞬間、あたしの目の奥が熱くなる感じがした。
いつもの感覚。
これが、相手の意識とリンクしてる証拠。

「…っ。」
ちょっと、痛いかも…。


あたしは意識を集中させた。
脳裏には、夕日に染まるシルエ殿下とサンマリアの街。
殿下の目が覚めるまで、この景色を消さないように気をつける。



あたしの体は、汗で濡れている。