あたしが連れて行かれた場所は、以前泊まったことのある部屋だった。

「ここ…。」

「能力者全員が集まるまで、この部屋で寝泊まりしてろ。2・3日もすれば集まると思うけどな。」

「………。」

「ん?」

キースは、黙りこんだあたしを変に思ったらしく、顔を覗きこんできた。

「やだっ…なんか、怖いよ…。」

さっきまでは全然恐怖とか感じなかったのに、今になって突然恐怖があたしを襲った。

とにかく、怖い。

「なんで、世界は平和だって信じてたのに…なんで、あたしは…」

どうしよう
止まらない

「割り切れよ。」

キースの言葉に、あたしは思考が停止した。

「もうお前だって分かってるだろ?平和じゃなくなってるって。20年前の戦争が再び始まろうとしてる。」

「…っ。」

あたしはキースから目をそらした。
その事実を受け入れられない。

「とりあえず、城に居てくれ。逃げようなんて考えるなよ。そうなったら俺らはお前の命の保証はしない。」

そう言うと、キースは部屋から出ていった。