会議室に1人残されたあたしは、色々考えた。

平和条約のこと。
能力者のこと。
軍のこと。
あとは色々。


「はあ…。無事だといいけど…。」

父さんと母さんを、無事に帰してくれれば…
とりあえずは解決なんだけど。

ふと、あたしはルクテン研究者の資料室で見つけたシルエ殿下について書かれた書類のことを思い出した。


「あれは何だったんだろ…?」

すると、コンコンとドアが鳴り、1人の軍人さんが入ってきた。


「あれ。…どなたでしょう?」
軍人さんは青い軍服だったから、あたしがここに居ることを知らなかったようだった。

「ベル・キッドマンです。」

「…ああ!ご両親を誘拐された…お気の毒です。」

「いえ…。」

なんだ。事件のことは知ってるんだ。
そうだよね。軍が動いてるんだもんね。


「私どもが任務を任されてないということは、この事件は群青の剣が担当してるんですか?」

軍人さんは、そうあたしに聞いてきた。

「そうですけど…え?知らないんですか?」

知らないんですか?
なんて、失礼な聞き方だが、そんなことを気にする場合ではなかった。


「そうなんですよ。私達一般軍は群青の剣について何も分かりませんし、その行動についても知らされないのです。」