「…おい。こいつら死んでるぜ。」

キースは倒れていた男の脈を調べた。

あたしは何が何だか分からなかった。

だってそうでしょ。
さっきまでの記憶が全く無いんだもの。


あたしは姉さんを見て、

「姉さん!!!あたしを庇って撃たれたの!姉さんを助けて!」


姉さんを抱き抱え、叫んだ。


すると、バタバタと数人の軍人らしき人が部屋に入ってきた。


「リザ!研究所内の敵は全て排除した。怪我人を今保護しているんだが…」

「丁度良かった。この方が重傷よ。急いで運んで!」

姉さんは担架で運ばれた。
それと、二人の死体も。

部屋には、あたしとリザとキースとリーだけが残った。


すると、キースが口を開いた。

「…ベル。お前、力使ったの?」

「わかんない。記憶が無いの。」

あたしは小さな声で返した。

「でも、絶対そう。あたしが殺したの。」


目から涙が溢れてくる。
力を使うってことは、大変な事なんだと
今更気付いた。
制御出来なかった。
まだ、未熟だった。


「ベル。一度ルクテンの軍基地に行きましょう。色々、話さなければならないわ。」


あたしたちはルクテン研究所を出て、近くにあるルクテン軍基地へと向かった。



父さんと母さんを助けないといけないのに
姉さんを傷つけた。


…あたしはなんて無力なんだろう