家から出て、私はサンマリア城に向かった。


大通りは人が沢山いて、騒がしい。

昔は戦争ばかりで、こんな平和なんて考えられなかった。
と、お母さんは言っていたっけ。

東の工業大国バレンシア王国

北の要塞ロザンヌ共和国

そしてここ、文明国マリアナ帝国


5年前にマリアナ帝国の皇帝にサンドラ4世が即位して、その一ヶ月後に平和条約が結ばれた。


サンドラ四世の前の皇帝は好戦的で、
バレンシアとの間で戦争が絶えなかったらしい。


20年前に起こった世界大戦は特に酷かったと聞いたことがある。

マリアナ帝国軍は、たった40人の軍隊でバレンシア王国軍の半分を討ち取ったらしい。


その裏には、能力者が存在していた。

能力者とは、生まれつき不思議な能力を持つ者のことを言う。

超能力と魔法を、
足して半分に割った感じかな。


その能力は役に立つものばかりだけど、戦争に使うとなると話は別。


色々な能力者がいるけど
あの戦争以来能力者は、自分の力を隠して暮らしていると聞いた。


私だって、そう。
あたしが能力者だってことは
家族と政府上層部しか知らない。