久しぶりに見た姉さんに、あたしは声が出なかった。

随分大人になってた。

「え…そこにいるのは…ベル!?」
姉さんはあたしに気付き、駆け寄ってきた。

「大きくなったわね。10年ぶり…。でも、どうしてベルが…」

「姉さん!!大変なの!」

あたしは大声を張り上げた。

「父さんと母さんが誘拐されたのよ!!」

「…本当に…?エリザベス、手紙に書いてたことは本当だったのね。」

エリザベスは溜め息を吐いた。

「当たり前よ。昔から研究所の人間は軍を信用しないわよね。」

すると、研究所の外で見張りをしていたキースがものすごい剣幕でこちらに走ってきた。

「リザやべえ!レジスタンスの奴らに襲撃された!!!!」


レジスタンス!?
あの、反政府組織の?

「嘘でしょ!読まれてたのね…」

さすがのエリザベスも、この事態は予想していなかったようだ。

「今リーが1人で奴らと戦闘してる!他の群青の剣には応援を要請したから、とりあえず来てくれリザ!」

キースはそう言うと腰に提げていた剣を抜き、入り口へと消えた。


あたしはどうしていいか分からなかった。

研究所内は、不法侵入者をの侵入を知らせるブザーが鳴り響いている。


「困ったわね…。リリー。多分まだ研究所内には敵は侵入していないはずよ。ベルを安全な場所にかくまってちょうだい!」

「待ってリザ!あたしの力は…」

戦力になるんでしょ?

そう尋ねる前に、リザは行ってしまった。

ブザーが鳴り響き、研究員達が走り回っている。

あたしは姉さんに腕を引っ張られた。

「わっ!ちょ、姉さん!?」

「いいから!ベル、あなたエリザベスとかから聞いてるでしょ?能力者は軍に属してはいけないって!」

姉さんはあたしの家族だから、勿論あたしが能力者だと知っている。