その夜、あたしは眠れなくてベッドの上に座っていた。

すると部屋をノックする音が聞こえた。

「…はい。」

返事をしてドアを開けると、あの美人の女性が立っていた。

「こんばんわ。改めて自己紹介するわね。群青の剣所属エリザベス・ウィンザーです。」

「ベル・キッドマンです。どうしたんですか?遅くに。」

あたしは軽く会釈をして、エリザベスさんに尋ねた。

「あなたのご両親の救出任務を任されたの。向かう先は、ルクテンって言う町なんだけれど…あなた、姉がいるわよね?」

「あ、いますけど…。確かルクテンの研究所で科学者として働いてると思います。」

あたしには10歳離れた姉がいる。姉は医学ではなく科学の道へと進んだ。

あたしが言うのもなんだけど、姉は天才。15歳の時に才能を買われて研究所へ入所した。

だから、あたしは姉と過ごした記憶がうっすらとしか無いし、姉はあたしの憧れでもあった。

「今回の任務を成功させるには、その研究所で研究されている兵器が必要なの。けれど研究所の人間は掛け合ってくれなくて…。それで、あなたに協力してもらおうと思ったの。」

「え?協力?」

思いもかけない言葉に、声が裏返った。

「あなたが研究所まで来てくれれば、きっと兵器を貸してくれると思うのよ。」

エリザベスさんは笑顔でそう言った。