ソフィアが驚いた素振りを見せない所から察するに、この黒猫は学園で飼われているのだろうか。

名は『シー』というらしい。

が。

「黒猫に『先輩』って?」

「ああ」

ソフィアは軽く微笑んだ。

「彼はシファ・クロナといいますの。シーというのは愛称ですわ。彼は学園の…えーと、まぁそのうちわかりますわ」

「?」

説明を随分端折られてしまったので、アリスカには何の事かわからない。

そうしている間に、シーと呼ばれた黒猫はアリスカの足元に身を寄せ、頬擦りしている。

「可愛い子ね」

しゃがみ込み、人差し指でシーの喉をくすぐるようにしてやる。

「私はアリスカよ。よろしくね、シー」

シーは目を細め、気持ちよさそうに喉を鳴らした。