気を取り直して。

「転入届を提出したいんだけど…職員室はどこかしら?」

「ああ、職員室ね。ついでだから私が案内して差し上げますわ」

ソフィアはアリスカを先導して歩き出す。

と、彼女の手にした鞄から何かが落ちた。

「あ、ポーチが落ちたわよ」

アリスカがそれを拾おうとして。

「!」

トテテ、と。

何やら小動物らしき影がポーチに駆け寄ってきた。

赤い瞳を持つ黒猫。

赤い首輪がついているが、どこかに飼い主でもいるのだろうか。

黒猫はソフィアのポーチに顔を寄せ、フンフンと鼻を鳴らしている。

「もうっ、シー先輩っ」

ソフィアが慌ててポーチを拾い上げ、困った顔を見せた。

「先程チョコを差し上げたでしょうっ?これ以上私のお菓子ポーチから強奪するのは勘弁していただけません?」