蒼い髪をなびかせ、アリスカが振り返る。

…階下に続く階段への入り口。

そこには、同じように膝まである白髪を風になびかせる月の姿があった。

「どうして私の行動を監視しているのかは知らないけれど、気配を消すのはあまり上手くないようね」

「ええ、私はそういうの専門じゃないから」

ニッコリ微笑む月。

その笑顔の下で如何なる思考が巡らされているのか。

(ドラグノフの組み立てができてないわ…射撃までに時間がかかる…狙撃するには距離が近すぎるし…)

何よりまだ月の素性がわからない。

アリスカの正体を知って接近してきたのか、興味本位で近づいてきただけなのか。

と。

「狙撃…随分物騒な事考えるのね」

「!」

月の言葉に、アリスカは背筋が凍りつくのを感じた。