昼休み。

(やっぱりピロシキは本場のには敵わないわね…)

購買で買ってきたピロシキを食べながら、アリスカは校舎の屋上にいた。

まだ風も冷たいこの時期、屋上で昼食をとろうという生徒はいない。

お陰でアリスカの貸し切りだ。

彼女はバイオリンケースを足元に置いて、屋上のフェンス越しに景色を眺めていた。

いい景色だ。

何より遠くまで見渡せる。

10倍スコープでもあれば、自己記録タイも期待できそうだ。

そんな事を思いながら足元のバイオリンケースに手をかけて。

「覗き見はあまり感心しないわね」

振り向きもせずに言った。