一時間目が終わる頃。

「アリスカさんはじめましてー」

月が啓太を伴って、アリスカの席に近づいてくる。

「私、この学園の生徒会長をしている白神 月といいます。こっちは田中 啓太君」

「は、はじめまして…田中 啓太といいます」

月の後ろで縮こまりがちに、啓太が挨拶する。

「あぁ、朝に目が合ったわよね、よろしく啓太」

アリスカは次の授業の教科書を準備しながら、にこやかに言った。

アリスカに覚えていてもらっていた事で、早くも啓太は舞い上がるような気分だ。

「あ、あの、テフレチェンコさんっ」

「『アリスカ』でいいわよ。私のファミリーネーム呼びにくいでしょ?」

「じ、じゃあアリスカさん、今日の昼休み、一緒にご飯どうですか?…っと白神さんが言ってますっっ」

流石に異性を食事に誘う勇気はないのか、慌てて月の犯行に仕立て上げる。

「ああ…お気持ちは嬉しいんだけど…」

アリスカは申し訳なさそうに苦笑い。

「昼休みはちょっと用事があるのよ」

用事。

それは決して嘘ではなかった。

(早いうちに『いいポイント』を見つけておかないとね…)