そんな面々の驚愕の表情を飄々と受け流しつつ、アスラは向き直る。

「一体…と言われてものぅ…わしの名前のままじゃ」

アスラ・メイデン。

実はこれは名前ではない。

アスラの存在そのものを示す言葉。

『アスラ』とは、インド神話・バラモン教・ヒンドゥー教における神族または魔族の総称。

人間とは比較にならないほどの神通力を有し、拳銃の弾丸を止めるなどというのは彼らにとってはほんの児戯に過ぎない。

そして『メイデン』は英語で『処女』を指す。

インド神話の神族と英国人のハーフ、即ち半人半神。

『神族の乙女』

それこそがアスラの正体なのである。