弾丸が命中し、アスラの体が蜂の巣にされる。

その、僅か数センチ手前で。

「!!!!!!」

黒服達は己の眼の異常を確信する。

弾丸が、静止した。

アスラに命中する直前で、映像の一時停止ボタンを押したように止まったのだ。

これが目の異常でなくて何だ。

こんな事、有り得る筈が…。

「有り得る筈がない、この状況は何だ、と思っておるか?」

月と互角の思考読みを披露するアスラ。

尤も、彼の場合は洞察力に基づく予想に過ぎないのだが。

「教えてやろう。これはの…」

うろたえる黒服達の目の前で、パチン、と指を鳴らすアスラ。

途端に。

「っっっっっっ!」

弾丸は黒服達の方へと飛んで行き、彼らを次々と撃ち抜く!

急所こそ外したものの、その弾丸は確実に黒服達の手足を貫通し、彼らの動きを奪った。

黒服達が行動不能になったのを確認して。

「これは、『天罰』というものじゃ」

アスラは不敵に笑った。