轟く発射音。

立ち昇る硝煙。

地面に転がる薬莢。

確かに弾丸は、拳銃の銃口から撃ち放たれた。

仲間達の誰もが目を閉じ、顔を背け、アリスカの無残な結末を想像して震え上がる。

しかし…。

「え…?」

アリスカの米神に突きつけられたままの拳銃から、弾丸が放たれる事はなかった。

黒服は確かに引き金を引いた。

発射音もした。

現に薬莢だって落ちている。

なのに。

『弾丸はアリスカに命中する寸前で止まっていた』

何が起こったのか。

その場にいた全員が、この不可解な状況に目を疑う。

…一人を除いて。