最早この状況を覆す策は、月でも思いつかなかった。

目の前でアリスカが拳銃を突きつけられている。

やっと仲良くなった。

先輩も後輩も、種族も能力も関係なく、やっと仲良くなれたのだ。

これから学園で色んな思い出を共有していく。

そんな仲間になれると思っていたのに…!

(月…)

ふと、アリスカの思考が月の中に飛び込んでくる。

(楽しかったよ、さようなら)

「いやっ…アリスカさんいやぁっ!」

既に光を失った月の瞳。

それでも涙だけは、とめどなく溢れてきた。

そんな光届かぬ月の目の前で。