移動中、アスラをひたすらに睨むアリスカと、そんな視線を露ほども感じていない様子のアスラ。

やがて担任を含む三名は、教室に到着する。

ガラガラと引き戸を開け、教室前方から入室する担任とアリスカ。

二人は教壇の前に立つ。

「えー、今日から新しいお友達がこのクラスに加わります」

『新しいお友達』とは…小学生みたいな紹介の仕方だと思いつつ、アリスカは黙っている。

「この学園では海外の転校生は珍しくないわよね?ロシアから留学してきた、アリスカ・テレフチェンコさんです」

「先生、『テフレチェンコ』です」

「ああっ、ごめんなさいっ」

担任のゆるゆるな間違いを指摘するアリスカに、教室でドッと笑いが起こる。

気を取り直して。

「はじめまして。アリスカ・テフレチェンコといいます。日本の事はあまり詳しくないので色々迷惑をかけると思いますが…よろしくお願いしますね」

型通りの挨拶をして、アリスカは軽く微笑んだ。