『時には泣きたくなることもあっていいよね?』



「うん…そうだね」





相槌を打つと、嬉しそうに鏡夜は笑った。





『ずっと我慢して、それでも泣きたいから。だから雨が降るんだと思う』





きっぱりと言い切る鏡夜。



そんな風に考えたことなんて、一度もなかった。



ただ、雨が降っていれば濡れないように傘を広げ、雷が鳴っていれば怖くないように鏡夜にしがみつき。



ただの一度でも、晴れていない空を見上げたことがない。





『これ、誰かに似てると思わない?』



「えっ?」





似てる…?



首を傾げる私を、相変わらず優しい笑顔で見つめる鏡夜。