結局、教室ではそのまま
千晴ととっくんが話す姿は
ずっと見なかった。


これ…言わなきゃ誰も付き合ってるって気付かないだろうなぁ


そんなレベル。


だけど
休み時間たまに

とっくんの周りの男子が千晴を見ていた。



放課後―…


『…一緒に帰らないで良いの?』


私の質問に


『…無理…』


そう呟いて
机に伏せてしまった千晴。


『なんか…疲れた』


千晴らしくない発言まで飛び出す。


初日にして相当参ってる…

初日だから余計?


だけどせっかく両想いになったのに…


そんな時だった。

私の背後から低い声がした。


『うちだ』


千晴の名字を呼ぶ声に
なぜか私の胸までときめいた。


『………とっくん』


千晴がゆっくりと
机から顔をあげる。


緊張してるのが分かる。

私の心拍数まで上がってしまう。


とっくんも緊張してる風だった。


『俺バスケあるから一緒に帰れないけど…また明日な。』


『う…うん。』



千晴…

も…もっと!


ゴクリ…


私が唾を飲み込むぐらいの
少しの間が開いてから


『じゃあな』


とっくんはクルリと向いて
教室から出ていった。