ぷるるるる〜...





何度目のコール音になるんだろう…かなしい音ばかりが耳に残る。




「…出ない」

『彼氏ー?』

「……うん…そうなんだけど…」



もうこの状況、私にとって彼氏なの?よくわかんないや。



『あれ?よんちゃんバイト遅れるよ!?』


「あー!本当だ!ありがと美貴!それじゃ行くね!ごめんね!また」



親友の美貴に手を振りながら、駆け出す。


『よんちゃーん!がんばってね!!』



私は言葉の変わりに、ピースを高く高く伸ばした。



走りながらケータイの時間を見た。


あと15分…ギリギリかな…私は急いで走った。




彼氏はきっと今お仕事が忙しい時なんだ。だからしょうがない。

私がちゃんと理解しなきゃ。



そう自分に言い聞かせてた。







*



お店の前に着き、前髪を直して、一呼吸整えてから 扉を開けた。



『いらっしゃいませー。』



『…ってなんだ。よんじゃん。紛らわしい。客かと思ったし〜』

「あはは。お客さんじゃなくてごめんね店長。」


この失礼な人は店長。おもしろくて大好き。


軽く返して、おはようございます。と言いながら、店の奥に入って行った。