あたしは、黒川 絢。

この春、訳あって転校することになった。

親の都合で。

それにしても、東方学園なんて…

不良、というよりも、族や、

ヤクザ、そういう人たちの集まる私立の高校。

確かに、あたしは賢くないけど。

どっちかといえば、頭が悪い。

そして、素行が悪い。

そんなあたしでも、余裕で入れたこの学園。

――――ブォォォオン…

あたしは、りっちゃんにメットを渡し、でかいバイクから降りた。

「ん。ありがと」

「おう。じゃ、行くか」

「理事長に送ってもらうとか、いいの??」

「んー…よくない…かな??」

…やっぱり…。

特別扱いになるしね。

「え、じゃあ歩いて行くよっ」

うん。迷惑掛けられない。

「や、でも俺、理事長でもあり、元彼でもあるし。んで、元幹部でもあるし。関係深いしね…ははっ」

「…んー…否定はしないけど」

「てか、遅刻するよ?絢さん。行くよ!」

どこに??

きょとんとした顔をしていると、

「教室に決まってんだろー…絢さん、バカ??」

鼻で笑った??今、本気でバカにした??

「うっさい!!バカはあんたでしょーがっ!!りっちゃんうざっ」

りっちゃん。

谷村 律。

東方学園の理事長。

そして、お父さんの組の元幹部。