風が吹いた。


今は花びらをつけていない桜が、葉っぱをなびかせた。


もしかして、衝突することが多いかもしれない。
話が合わないかもしれない。

それでも、あたしの隣には関根がいる。
それだけで、あたしはじゅうぶんに幸せなはずだ。



葉っぱが落ちて、桜が冬空に毛細血管のような枯れ枝を伸ばす季節になっても、きっと関根と一緒なら、春の花びらを思って笑っていられる。


どんな前途だってかまわない。

1年生からのこの思いが報われたんだから。

今、あたしの桜は満開になったんだから。