関根は急いで階段を駆け下りみゆきの元へ小走りでやってきた。

みゆきは涙で落ちた化粧も直していない自分に気付き、
顔を手で覆った。
「なに?」

ぶっきらぼうにそう言うと関根が…

「これ。」
と無造作に四つ折りにされた紙をジャージのポケットから取出し、みゆきに渡した。

みゆきはそれを受け取り開いた。
何かが書いてある…

『内緒で好きな子』

そう書かれていた。

え?という風に顔をしかめ、みゆきは関根を見た。

「体育祭の、借り物競争。

実は、俺への指示はそれだったわけ。」

「え…でも…。」
『クラスで一番目立つ女子』って…言葉をつなごうとした。
言葉を遮るかのように関根は話し出した。

「入学式の時に、桜すごかったよな。

桜吹雪もさ…。坂下、覚えてる?」

「覚えてるよ…。」