何をしたんだろう…

もうあたしの気持ち関根にばれた…!

みゆきは校舎を駆け抜けた。
誰とすれ違ったかもわからないほど、早くその場から逃げたかった。

許せなかった。
関根をバカにされたことが…。

つまらなくたって関根がいればいい。

関根が気の利いたデートができなければ、あたしが計画すればいい。


みゆきにとって、関根が『関根政雄』であることが何よりも価値のあることだった。
一緒にいれればそれでいい、そう思っていた。

何よりも魅力のある
『関根の隣』にいる権利を
いとも簡単に手に入れ、

その権利を軽々しく放棄した神田昭子が許せなかった。

頬を伝う涙を拭きながらみゆきは校舎から出て、人気のない校舎裏の自転車置き場に着いた。

あいかわらず桜が緑の葉っぱを風になびかせていた。