今回の試験はさんざんだった…。
関根のことが気になって…って言い訳だけど、全然勉強できなかったし…。

ジュースを脇に置いてみゆきは教室のバルコニーに出て柱の陰に座っていた。

7月ももう半ば。
さわやかだった風は徐々に蒸し暑さを帯びて体にまとわり付いてくる。

緑色に染まった桜を見下ろして、気分が落ち込んでいたみゆきの頭上で声がした。
みゆきが座っている場所はバルコニーの柱の陰。
ちょうど教室の窓の横にある柱の陰は、窓辺で話す声が聞こえてしまう。

「昭子~。なんで別れたの?」

神田昭子といつも一緒にいる山下仁美だ。

みゆきは声の主を確信すると、どことなく体が緊張し、改めて体育座りをした。

「なんでって…だってつまんないんだもん。あいつ。」
吐き捨てるように神田昭子の声がした。

「つまんないって、あんたね~。」

「だってさ、1週間経つけど、手もつながなければキスもないんだよ。
ちょっとおしゃれかな?って思って付き合ったけど、それじゃね。」

くすくすと笑いながら二人は話し続ける。

「でもさ、昭子。せっかく坂下さん潰してまで付き合ったのに…。」

え!??
あたし?

何?つぶしたって…。

みゆきは怒りがだんだんとこみ上げてきた。
傍らに置いたジュースの缶を握り締めていた。