鼻血があたしの気持ちを隠してくれる…。

そう思った。

関根はきっと、
鼻血を出して泣いているんだと思ってる。

真っ赤な血が自分の気持ちをカモフラージュしてくれているようで、今は鼻血がありがたかった。

立ち止まって、呆然とした表情でみゆきを見つめている関根と、横にいて急かすように関根の腕をひっぱる神田昭子に対して

「見てんじゃねーよ!!」

と利佳子が怒鳴った。

「こら!!大田!!」
先生に怒られる利佳子。

すいませんと頭をぺこりと先生に下げた利佳子は再び関根達を睨んだ。

睨まれた関根は神田昭子に腕を引っ張られるように玄関を出て行った。
ポケットには手を入れたまま…。