「なに?どしたの?」
血だらけのみゆきの顔を見た利佳子は大声で言った。

「あ…こ、ころん…だ…」
一気に涙が溢れ出した。

「えっ…えぐ…う…」
言葉にならなかった。

関根に彼女ができた。
胸にぽっかり穴が開いたような…苦しさと悲しさで涙はどんどん溢れていった。

下駄箱付近にいた下級生が血だらけのみゆきを心配してか、職員室から先生を呼んできた。

「坂下?なんだ?どうした?」

みゆきは涙と鼻血でぐちゃぐちゃになった顔を先生に向けて
「なんでもない」と言うふうに首を振った。

「急いで走ってたら転んじゃったんです。
んで、鼻打って…。」
利佳子が言った。

なかなか嗚咽がおさまらなかった。

玄関のすみに座って泣いているみゆきの傍らに立つ利佳子と先生の横を関根と神田昭子が通りかかった。

血だらけで涙を流しているみゆきと関根の目が合った。
びっくりしたように、目を丸くしている。

神田昭子の口が
「なにあれ?血?」と動いた。

手をポケットにつっこんだままの関根の腕を神田昭子がつかんでいる。

付き合ってソッコーで腕組んでるし…

二人を目の当たりにして、みゆきはまた涙が溢れ出した。