放課後、教室に残るクラスメートもどんどん減っていった。

利佳子とみゆきも夕日に照らされた玄関の下駄箱にやってきた。

「あ…電子辞書忘れた!」
みゆきはそう言うと履きかけていたローファーを脱いでかかとをふんだまま上履きに履き替えた。

「とってくる!待ってて!!」

「ここにいるね~。」

みゆきは急いで階段を上り教室へと向かった。

もう誰も残ってないか…。
ん?誰かいる?

オレンジ色に染まった教室に入るとそこには関根と神田昭子がいた。

え??

二人がみゆきを見た。

「あ…忘れ物しちゃってさ。」
みゆきはまるで独り言のように言った。

イスに座っていた関根がみゆきを見る。
関根の座ったイスの隣にある机に腰掛けている神田昭子は関根を見ている。

「じゃね!!」

みゆきは急いで教室から出た。

「…なの?」
教室を出る間際、神田昭子が関根に話しかける声が聞こえた。